CT装置の更新を計画するとき、装置の選定や工事日程とともに確認しておきたいのが、既存のCT室の放射線防護です。「同じ部屋に新しいCTを入れるだけなら、以前の遮蔽計算書をそのまま使えるのだろうか」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
今回は、CT装置更新時に確認したい遮蔽計算の前提条件、漏えい線量測定との違い、行政手続との関係を整理します。
同じCT室での更新でも、確認したい理由
壁や扉を改修しなくても、更新後の装置の仕様や使用状況が以前と同じとは限りません。既存の遮蔽設備が新しい条件でも適切かを確認することが大切です。
もちろん、装置を更新したからといって、必ず遮蔽計算書を作り直したり、追加の防護工事を行ったりする必要があるという意味ではありません。重要なのは、以前の評価が更新後の使用条件にも当てはまるかどうかです。
CT更新時に確認したい5つのポイント
1.装置の仕様と撮影条件
管電圧、撮影方式、撮影プロトコルなどが変わると、遮蔽評価の前提条件に影響する可能性があります。新しい装置になれば周囲への放射線量が必ず増えるわけではありませんが、仕様だけでなく実際の運用予定も合わせて確認しましょう。
2.検査件数と使用負荷
装置更新によって検査件数や検査内容が変わることもあります。過去の遮蔽計算書で想定した使用負荷と、更新後の計画が整合しているかが確認点です。
3.装置の配置と周囲までの距離
同じ室内でも、ガントリの位置や配置が変われば、周囲の壁などとの位置関係が変化します。新旧の配置図を照合し、計算の前提となる距離を確認します。
4.隣接室・上下階の用途
以前は倉庫だった部屋が事務室に変わるなど、CT室の周囲の使われ方が変わっている場合もあります。人の立入り状況を含め、現在の施設の利用状況を確認しましょう。
5.遮蔽設備と既存図面の一致
壁・扉などの遮蔽材や厚さに関する資料が、施設の現況と一致しているかも重要です。過去の改修履歴によっては、図面や施工記録の確認が必要になることがあります。
以前の遮蔽計算書をそのまま使える?
以前の計算書は、どの装置・使用条件・施設構造を前提に評価したかを知るための大切な資料です。更新後の仕様、使用負荷、配置、周辺室の用途などと照合し、条件が引き続き妥当かを検討します。
条件に変更があれば再評価が必要になることがあります。一方、従来の条件が適切であると確認できる場合もあります。計算書を新しく作ること自体が目的ではなく、更新後も必要な放射線防護上の基準を満たしているかを確認することが大切です。
具体的な計算や技術的判断は、必要に応じて遮蔽評価を扱う専門事業者と相談して進めましょう。
遮蔽計算と漏えい線量測定は役割が違う
遮蔽計算:想定する条件に基づく評価
装置の使用条件、遮蔽材の性能、位置関係などをもとに、放射線防護上の性能を評価します。更新計画の段階で既存の遮蔽設備を検討する際にも役立ちます。
漏えい線量測定:実際の設備における確認
適切な測定条件と測定機器を用い、診療室の周囲などの放射線量を確認します。ただし、測定結果は測定時の条件に左右され、あらゆる運用条件を保証するものではありません。
両者の役割は異なり、一方だけで常に十分とは限りません。必要な評価や測定の内容・時期については、装置と施設の状況に応じて確認する必要があります。
京都府でCT装置を更新するときの届出
診療用エックス線装置を備えた場合、医療法施行規則第24条の2には、原則として備付後10日以内の届出が定められています。また、京都府・京都市では装置の更新などに関する変更届が案内されています。
京都市では、診療用エックス線装置の更新・追加・一部廃止について「診療用放射線に関する変更届」を変更後10日以内に提出し、装置を変更した場合は新たな装置の備付届を添付する取り扱いです。据置型装置の備付届では、診療室の平面図・側面図や漏えい線量測定結果などが案内されています。
ここで区別したいのは、放射線防護上、既存の遮蔽計算の前提を確認することと、行政機関へ新たな遮蔽計算書の提出が必要かどうかです。両者は同じ問題ではありません。添付資料や手続は施設の所在地、装置、変更内容などによって異なるため、所管窓口の最新の案内をご確認ください。
届出の基本については、関連記事「京都府で診療用エックス線装置を設置・更新するときの届出」で詳しく解説しています。
関係者との情報共有が手続きを円滑にする
CT装置の更新には、医療機器メーカー、設計・施工事業者、遮蔽評価・測定を行う専門事業者、医療機関の担当者など、さまざまな関係者が関わります。行政手続の担当者も、装置仕様、設置計画、図面、技術資料などを早い段階から共有できると、届出書類との整合性を確認しやすくなります。
技術的な計算・測定と行政書士が取り扱う書類作成・提出支援は、性質の異なる業務です。それぞれの役割を尊重し、必要に応じて連携することが大切です。
まとめ:更新計画の段階から確認を
同じCT室で装置を更新する場合でも、仕様、検査件数、配置、周辺室の用途などが変われば、以前の遮蔽評価の前提が変化する可能性があります。
過去の資料を確認し、必要に応じて専門的な再評価や漏えい線量測定を検討するとともに、行政手続の準備も並行して進めましょう。
CT装置の更新に伴う行政手続のご相談
シーズナル行政書士事務所では、医療現場への理解を生かし、診療用エックス線装置の導入・更新に伴う行政手続を、行政書士として取り扱える範囲でお手伝いしています。技術的な評価や測定については、必要に応じて専門事業者と連携します。
ご相談はお問い合わせページからお気軽にご連絡ください。
参考資料
京都市|病院・診療所の診療用エックス線装置等に係る届出について
※本記事は2026年10月時点の一般的な情報提供です。個別の技術的判断や届出については、装置・施設の状況と所管機関の最新案内をご確認ください。

